親の認知症と財産の凍結
超高齢化した現在において、今や高齢者の約5人に1人は認知症になると言われています。親が生きているうちは、親本人しか財産の管理や処分ができないのが原則です。親が認知症になると、保有している預貯金、不動産などの財産が「使えなくなる」「動かせなくなる」(=凍結)。具体的に言えば預貯金の引き出しや定額預金の解約ができなくなったり、不動産であれば売却、賃貸、修繕、リフォームが難しくなる可能性があります。さらに生前贈与などの相続税対策なども困難となる恐れがあります。
このような不安やお悩みはございませんか?
解決できる一つの選択肢として、「家族信託」をご検討されてみてはいかがでしょうか?
家族信託のしくみ
家族信託とは、“家族”のための財産管理制度で、不動産や金銭などの財産の管理や処分を、
家族信託は、
信託契約の中で、
家族信託では、委託者と受益者は同一人物となる場合がほとんどです。
家族信託を使った対策
お持ちの財産の状況よって、家族信託が適している場合とそうでない場合があります。
ここでは、家族信託をすることでトラブルを防いだり、不安を解消ことができる代表的な事例をいくつか簡単にご紹
介します。
ケース1土地を所有している
土地をお持ちの親御さんが、アパート建設をして相続税対策をしたいと考えています。
また、将来の相続税の納税に備えて不動産を現金化したいとも考えています。
しかし、アパート建設にはある程度の時間がかかります。
その間に認知症になってしまったら・・・
親御さんが認知症になったら...
- 認知症になって判断能力がなくなると アパートの建設や不動産の売買ができなくなります!
- 成年後見人をつけた場合でも 相続税対策のためのアパート建設や不動産売買はできなくなります! ※成年後見制度はご本人の財産を守る制度であるため
こうならないためにも親御さんが元気なうちに、家族信託で対策をしましょう!
対策家族信託で管理等の権限を子供に信託する
- 親御さんが元気なうちに、お子さんに土地やお金を信託します。
- お子さんに管理・処分権限を与えることによって、親御さんが認知症になった後も お子さんがアパート建設や不動産の売買を行うことにより相続税対策・納税資金の準備を続けることができます。
- 信託した財産から得た利益は、親御さんのために使います。
ケース2自宅を所有している
一軒家をお持ちの親御さん
将来、介護施設に移り住む可能性があります。
しかし、認知症になってしまうと・・・
親御さんが認知症になったら…
-
認知症になって判断能力がなくなると
不動産の売買ができなくなります! -
成年後見人をつけた場合でも
居住用の不動産を売るには家庭裁判所の許可が必要になる。
お金が足りないなどの理由がないと売却は難しい… -
誰も住んでいない空き家に対して
固定資産税や維持費を払い続けなければならない…
こうならないためにも親御さんが元気なうちに、家族信託で対策をしましょう!
対策家族信託で自宅不動産を子供に信託する
- 親御さんが元気なうちに、お子さんに自宅不動産を信託します。
- 自宅不動産信託した後も、親御さんは自宅不動産を使うことができます。
- お子さんに管理・処分権限を与えることによって、親御さんが認知症になって自宅に 戻ることがなくなった場合、お子さんの権限で不動産を売却できます。
- 不動産の売却代金は、親御さんのために使います。
ケース3アパートを経営している
アパートをお持ちの親御さん
しかし、親御さんが認知症になってしまうと・・・
親御さんが認知症になったら…
- 以下のことができなくなります。
- 預金の引き出し
- 賃貸契約を結ぶ
- 管理委託契約を結ぶ
- 大規模修繕
- 不動産売却や建て替え
-
成年後見人をつけた場合でも相続税対策ができなくなります。
※成年後見制度はご本人の財産を守る制度であるため -
財産が多い場合、成年後見人に司法書士や弁護士が選ばれる可能性が
高くなり、後見人報酬が継続的に発生します。
こうならないためにも親御さんが元気なうちに、家族信託で対策をしましょう!
対策家族信託でアパートを子供に信託する
- 親御さんが元気なうちに、お子さんにアパートを信託します。
- お子さんが家賃の回収や経費の支払いを行いアパートを管理。その利益を親御さんに給付します。
- お子さんに管理・処分権限を与えることによって、親御さんが認知症になった後も お子さんがアパートを管理し、必要に応じて売却や建て替えもできます。
ケース4財産の承継先を2代以上先まで指定しない
長男夫婦には子供がおらず、将来的に長男の妻の家系に財産がいってしまう…
いずれは長女の子供(孫)に財産を承継したいと考えているのだが…
家族信託で不動産の承継者を指定する
家族信託では親御さんが何代にもわたって承継者を指定できるので、
最終的に直系の孫に承継させることができます。
例えば家族信託契約時に長男への受益権の移転➀と孫への将来の受益権の移転➂が
同時に親御さんからなされたものとすることもできます。
ケース5知的障害のある子供がいる
重度の知的障害の子供(長女)を持つ親御さん
自分の死後、遺言を書くことで長女に全財産を相続させたいと考えています。
長男には土地の活用を任せたいとも思っています。
- しかし長女は重度の知的障害を抱えているため、アパート経営や土地の売却など の土地活用を自ら行うことはできません。成年後見人が制度の場合は、長女の財 産を守ることを使命としているため、積極的な資産の運用ができません。 アパートの建築や土地の売却はできないのです。
こうならないためにも親御さんが元気なうちに、家族信託で対策をしましょう!
家族信託で長男に土地活用を任せる
- 親御さんは長男に土地と一定の金銭を信託します。
- 長男は親御さんの暮らしを守るため、親御さんの死後は長女の暮らしを守るために信託財産の管理・ 処分を行います。
家族信託のタイミングはいつ?
認知症の診断が出ると、成年後見人制度を使うか、もしくは親御さんが亡くなる(相続)まで、財産を動かせなくな るということになります。家族信託をするタイミングは、親御さんが元気な時、判断能力がしっかりしている時に行 います。その後物忘れが多くなるなど、認知症が心配になってきた場合には、家族信託をするべき最後のタイミング です。家族信託はいわば転ばぬ先の杖。親御さんの判断力がしっかりしているうちに、ご家族できちんとお話し合い をされることをお勧めします。
信託契約の流れ
まずは株式会社IGL に相続のご相談をください。その上で信託や遺言証書の作成が必要な場合は弊社と提携している
司法書士事務所で信託契約や遺言証書作成をお手伝いします。また、税務上の相談は弊社の顧問税理士事務所にてご
相談頂くか、ご自身で税理士事務所にてご相談頂きます。その後、処分する不動産や管理物件がございましたら、弊
社にて売却、管理、賃貸相談をお受けできます。
株式会社IGL では、お客様のご事情を伺い、親身になって最適な対策を一緒に考えてまいります。もちろん家族信託 ではなく、遺言状や任意後見制度で対応できる場合もあるかと思います。あわてずにゆっくり、じっくり時間をかけ て不動産相続の対策を準備をしていくのが理想と考えています。